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キチンという物質 |
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キチンという物質は、植物が持っているセルロースによく似ている。
セルロースは、図1のようにブドウ糖がつながった高分子の物質である。
ブドウ糖が1万個から10万個のレベルでつながっているとイメージすればよい。 |
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図1の中で点線で囲んだ部分に注目してもらいたい。この部分を専門的には水酸基と呼んでいる。 |
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キチンは、図2のようにセルロースの水酸基の部分がいささか複雑な原子集団となってくっついている。専門的には、この複雑な原子集団をN−アセチルグルコサミンと呼んでいる。 |
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キトサンという物質 |
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エビ殻やカニ殻はキチンという物質が中心となってできている。
ところが、100%図2のようになっているかというとそうではない。 |
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点線で囲んだややこしい部分が、一部変化していることが分かっている。
調べてみると、N−アセチルグルコサミンから、アセチル基という部分がはずれてしまっているというのである。専門的には、このはずれてできた部分をアミノ基と呼んでいる。エビ殻やカニ殻では、約5〜10%程度がこのアミノ基になっていると報告されている。このアミノ基が生命活性に大変重要な役割をしていることが分かってきた。 |
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そこで、図3のように意図的に全体をアミノ基にする技術開発が求められるようになってきた。 |
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こうして完成した物質がキトサンである。キチンからキトサンを作る技術を脱アセチル化技術と呼んでいる。 |
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キトサンの精製度 |
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脱アセチル化によってキチンをキトサンに変化させるとき、何%アミノ基にしているかが重要になってくる。これをキトサンの精製度と呼んでいる。エビ殻やカニ殻のままでも、5〜10%はアミノ基を持っている。 |
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そのため、時にはその粉末をキトサンと呼んでいることもある。 |
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50%程度のアミノ基(脱アセチル化)でも、キトサンとして商品化されているケースもある。 |
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キトサンという物質は、精製技術によってその品質が大きく変化する物質である。 |
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したがって、キトサンと表示した場合、精製度何%と明示することが求められる。これは、法律上の問題というより、技術者の「良心と誇り」の問題といえる。 |
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通常精製度80%以上をキトサンと呼んでいる。 |
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キトサンの機能が十分に発揮されるには、95%以上の精製度が必要と考えられている。 |
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プラスの電気を帯びるアミノ基 |
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キトサンの持つアミノ基は、自然界の中でも大変珍しい機能を持っている。それは、アミノ基の(-NH2)部分にもう一つ水素(H)をくっつけて(-NH3+)にすることができるからである。この状態をモデル化してイメージしてみよう。 |
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プラスの電気を帯びた原子の集団が1万個から10万個レベルでつながっていると考えればよい。こうした、プラスの電気を帯びた高分子は、現在のところキトサンだけであるとされている。 |
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マイナスの電気を帯びた物質の吸着 |
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プラスの電気を帯びたキトサンは、マイナスの電気を帯びた物質を吸着することができる。 |
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その代表的なものがカルボシキル基(-COO-)と呼ばれる原子集団を持った物質である。カルボシキル基を持った物質には、ダイオキシンなどの環境ホルモンや一部の農薬がある。また、体内の脂肪もカルボシキル基を持っている。 |
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有害なウイルスや細菌もカルボシキル基を持っている。 |
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キトサンの吸着、排出機能はこうした科学的原理によって説明されている。 |
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一方、水道水の中の塩素イオン(Cl-)や硝酸態窒素(NO3-)などもマイナスイオンになっている。 |
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キトサンによって風呂の中の塩素や硝酸態窒素が吸着されていくのも同じ原理である。 |
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水溶性キトサン |
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キトサンは水に溶けにくい物質である。 |
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風呂に入れて使用する場合、水に溶けやすくする必要がある。 |
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また、サプリメントとして利用する場合、血液に溶け込むようにするため同じように水にとけやすくする必要がある。専門的には、水溶性と呼んでいる。 |
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通常80%レベルの水溶性キトサンであれば、風呂の水に溶かし込むことができる。 |
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しかし、水溶性キトサンを製造する技術はかなり難しい。
分子の大きさ、原子集団の結合の仕方、弱い酸性物質の混合などに工夫が必要であり、誰でも製造できるものではない。 |
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キトサンの品質 |
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キトサンの多様な機能について、全国各地の大学より研究報告がなされている。 |
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ただし、この場合のキトサンの品質については、一定の条件が設定されていると考えられる。 |
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一般的に大学の研究室で利用されているキトサンは、精製度95%以上、水溶性80%以上といわれている。 |
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キトサンという呼び名であれば、「どれも同じ」と考えることはできない。 |
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分子の大きさ |
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キトサンを商品化する場合、高分子をどの程度の大きさに分解しておくかということが必要になってくる。 |
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風呂に入れる場合などは、ある程度大きな分子状態がよい。 |
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腸内の脂肪を吸着したり、環境ホルモンであるダイオキシンを吸着するには、やはり分子は大きい方がよい。(動物実験データより) |
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腸内の善玉微生物を活性化させるには、オリゴ糖(1〜6個程度)レベルがよいとされている。体内吸収によってキトサンの機能を発揮させようとした場合、できるだけ分子は小さくする必要がある。 |
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高分子のキトサンは、強い胃酸によって低分子化することが分かっている。 |
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したがって、こうした体内での物質変化を推測しながら、様々な分子の大きさを設定する必要がある。これは、各企業の貴重な社内ノウハウになっている。 |
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キトサンを利用するときには、製造技術や企業ノウハウをチェックする必要がある。
キトサンは製造技術によって、品質が大きく変化する物質である。 |